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わたしたちの口腔内には、おびただしい数のバクテリアが存在しています。常に歯は、そうした環境にさらされる宿命にあるため、歯科医師は治療した歯ができるだけ長く持つよう常に努力しています。
しかし、虫歯など、一般的な歯科治療にも、平均使用年数といったものがあります。
ここでいう平均使用年数とは、歯を処置してから再治療しなければならなくなるまでの期間のことです。
ある調査によれば、「レジン5・2年、アマルガム7・4年、インレー5・4年、帯冠金属冠12年、メタルボンド8年、ブリッジ8年」といったデータが、報告されてます。これは、平均的な数値で、これより長く使用できる場合もあれば、短くなってしまう場合もあります。
では、なぜ、平均使用年数に、個人差がでてしまうのでしょうか。
その原因のひとつに、人間の持つ免疫抵抗力があります。
この免疫機能が弱くなると、歯周病になりやすくなります。免疫作用を司る白血球にはアミーバのようにバクテリアを包んで食べる、貧食作用があります。この貧食作用が、強いか、弱いか、で歯肉の健康状態にも個人差が出る、というわけです。
虫歯など一般的な歯科治療とは違い、インプラントは平均使用年数が非常に長いのが特徴です。
41年以上経過したインプラントでも、健全な状態を維持しているインプラント治療例もあるくらいです。それほど、インプラントの成功率は高く、99%以上といっても過言ではありません。
しかし、半永久的なインプラントであっても、その周囲が歯周病などに侵されてしまえば、その治療のために、やり直すこともあります。インプラントにも、リスクがあるということです。
この、インプラント治療のリスク要因になるのが「糖尿病」と、「喫煙習慣」です。 人間の待つ免疫機能を弱めてしまうからです。
「糖尿病」の患者さんは、一般にバクテリアの感染に弱く、とくに進行した糖尿病の場合は、歯が感染して歯槽膿漏になる確率が高まります。従って、糖尿病の患者さんが、インプラントを行う場合は、主治医の先生に血糖値を低くコントロールしてもらう必要があります。
もう一つの、「喫煙習慣」もインプラント治療のリスクを高めます。喫煙が、歯周病に対する免疫力を低下させてしまうからです。
血液中に入ったニコチンは、白血球の貧食作用を低下させ、さらに血管を収縮させます。 口腔内の血管は、極めて細いため、血流が阻害されやすいのです。そうなると当然、白血球の行き届かないことになり、口腔内にバクテリアが増殖しやすくなります。 こうした状態が続くと、インプラントのリスクも高くなってしまうのです。
そのため、当テルミナ歯科クリニックでは、通常は十年保障するインプラントですが、喫煙習慣のある患者さんには、 「インプラント治療は三年間しか保障できませんよ」と、お伝えしています。そうすると、 ほとんどのインプラント治療の患者さんが、禁煙されているようです。これも、インプラントの二次的効果、といえるかもしれません。
■平成17年4月26日