再生医療におけるPRGF|名古屋の歯科医院・テルミナ歯科クリニック

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中部経済新聞掲載 インプラントコラム

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医療法人エルザ会 テルミナ歯科クリニック

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再生医療におけるPRGF~自己血液血小板から多増殖因子血漿を獲得~ 医)エルザ会 テルミナ歯科クリニック 副院長 鳥村亜矢

歯科インプラント治療において、今や組織再生医療は絶対に必要なものになっています。
歯を抜いた穴が自然治癒して骨ができてくるまで、6カ月待てばよいという症例は多くあります。しかし、骨ができてもまだ高さが不十分という症例も多く、今ある骨の量では神経・動脈までの距離が不十分という難症例も多くあるのです。
3カ月くらいで骨を造らなければならない症例もありますが、このような症例に新しいPRGFが役に立ちます。
PRGFとは、プラスマ・リッチ・グロース・ファクターの頭文字を取った名前です。その中のグロース・ファクターは増殖因子のことで、細胞の分裂や発達(分化)を促進する働きがあります。
それは、患者さん自身の血液を遠心分離して得られる血小板由来で血漿由来の増殖因子で、組織の増殖や分化を制御する種々のシグナルを周囲の組織細胞に伝達するタンパク質として創傷治癒の起点になります。
グロース・ファクターの役割は、(1)骨形成:「骨誘導能」間葉系幹細胞から骨芽細胞を誘導する働きと、「骨伝導能」骨が沈着する足場を造る働きの2つの能力による骨形成の促進。(2)血管形成:毛細血管を多くつくり、骨や歯周組織(歯肉など)などの増殖を促進することです。
この(1)、(2)の働きを持つ組織再生医療は、「自然治癒力」を高めて組織を治そうという治療法です。
PRGFの利点は、従来の血液の遠心分離法でつくる血小板濃縮法と比較すると、血小板の薄い細胞膜を壊さない遠心分離機を使用するので、骨補填材と混ぜる時点で細胞膜が壊れるようにできます。これによって手術部にすぐ運ばれ、グロース・ファクターの力が最大限に発揮されます。
また、この遠心分離法では炎症細胞の白血球は含まれないので、腫れ・痛みが非常に少なく、骨形成期間は3~4カ月で骨密度がほぼ2倍になるなど、患者さんにとって有利な点が多い新しい技術と言えるのです。
さらに、骨造成のみならず歯肉増殖にも有利なことがメリットにあげられます。
また、骨密度維持のために使われるビスホスホネート製剤を使用している患者さんは抜歯後に骨壊死を起こし、顎全体に壊死が広がる危険性が高いのですが、抜歯後にPRGFを抜歯窩に填入することで壊死を起こさないことが期待できるという報告があります。


今までの遠心分離機では2層になりますが、PRGF法ではF1・F2・白血球層・赤血球層の4層になります。

■令和元年10月25日

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