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今回は、インプラントの上部構造について報告します。
インプラントは、インプラント本体をはじめ、アバットメント、クラウンの3つのパートに分かれます。
インプラント本体は、骨の中に設置された後にアバットメント(支台)をインプラントに取り付けます。そして、このアバットメントに上部構造(補綴物・クラウン)を取り付けるわけです。
この上部構造を取り付ける方法には、歯科用セメントを使用してアバットメントに接着する方法と、ネジを使ってアバットメントに取り付ける方法があります。
この二つの固定方法には、どのような違いがあるのでしょうか。
インプラント治療は、失われた歯牙をもとのような状態に戻すためのリハビリテーション治療です。
平成23年度厚生労働省歯科保健情報集等事業(歯科インプラントの問題点と課題)によれば、最も多いトラブルは「インプラント補綴修復物の破折、破損」と「インプラント周囲炎」となっています。
この「補綴修復物の破折、破損」について考察してみます。
上部構造をアバットメントにセメント固定する方法の欠点は「セメントがクラウン辺縁からオーバーフロー」して歯肉縁下に入り、それを除去しなければなりませんが、完全に除去することは難しいと言われています。そして、取り残されたセメントは、インプラント周囲炎発生の一つの原因とされています。
一方ネジ固定の欠点は「ネジの緩みと破折」、ネジを取り外す穴が補綴物の咬合面に存在することによって、強度が弱くなり、補綴物が壊れることがあると論文などで紹介されています。
私は、このような問題点を解決するために「コノメトリック補綴」という補綴方法も採用しています。
この方法は、セメント固定でもネジ固定でもなく、術者によって補綴物を短時間で簡単に外すことができる新しい方法です。
インプラント本体とアパットメントの結合部分には、マイクロギャップがあり細菌叢が形成される
■令和2年10月30日