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インプラントの上部に精密なセラミック冠を装着することは、インプラントを永く使用するうえでとても役に立ちます。それは、セラミック冠がインプラントの土台(アバットメント)にぴったり適合していなければ、土台とセラミック冠の間の隙間にバクテリアが繁殖し、歯肉に炎症を起こしやすくなるからです。
セラミック冠を造るための型採りには、直接法と間接法があります。 直接法型採りは、インプラントに土台が最初から付いている1回法インプラントで、歯肉の上に出ている土台を直接型採る方法です。直接法で隙間ができやすい理由は、土台を精密なシリコン印象材(型採り材)で直接型を採って外す時、シリコンゴムは少し伸びて戻ります。しかし、完全には元の形に戻らず、わずかなひずみ・歪みが生じます。
これが永久ひずみと言われるものですが、インプラントの土台位の大きさでは型を土台に戻した時、約20ミクロン大きくなると言われています。さらに、型に石膏を流し込んで技工士が作業する模型を造りますが、石膏は固まる際に硬化時膨張という膨らむ性質があります。このように元の土台より大きな模型でセラミック冠を造るため、直接法型採りで作ったセラミック冠は、とても上手な技工士が造った時で約60ミクロンと言われています。バクテリアは4~10ミクロンと小さいので、直接法のセラミック冠は装着したその日からバクテリアが繁殖してしまうのです。
それに対して間接法は、型採りの時に「印象用コーピング」という部品を口腔内のインプラントに動かないように接続した状態のものを型採りして、印象用コーピングが型の中に入った状態にします。
この印象用コーピングにインプラントと精密にぴったり合った「インプラントアナログ」を接続して、石膏を流し込みます。石膏が硬化して型から外せば、石膏模型の中に口腔内のインプラントと同じ位置にインプラントアナログが設置された状態になります。
この間接法の作業用石膏模型を使ってインプラントアナログにアバットメント(土台)を装着し、そのアバットメント上でぴったり合うセラミック冠を造ります。
このように間接法で型を採った時は、セラミック冠の適合性が良いので歯肉の下に装着しても比較的安全です。対して直接法で型を採った時は、歯肉の中に入れない方がより安全かもしれません。
■平成24年3月