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インプラントの計画部位に骨が無い場合には、骨造成が必要となります。
骨造成は歯肉下の骨膜下に骨を作る骨補填剤を設置し、能率よく骨ができるよう充分血流を確保します。この際、歯肉などの軟組織が入り込まないように膜(バリアメンブレン)で遮断した時にできる骨量に対して、遮断膜を使用しない骨造成は、骨量が30~40%減少することが分かっています。
遮断膜には、1~7ヵ月で組織に吸収される吸収性膜と組織に吸収されない非吸収性膜があります。非吸収膜のPTFE膜(4フッ化樹脂膜)は、組織を遮断し血液を通す性質があるだけでなく、バクテリアや異物を通さない性質もあります。創面歯肉の下に潜り込ませることによって、創面を最初から開いた状態で設置することもできます。
通常、PTFE非吸収膜は口腔内に露出した状態で1か月間保持されたのち、ほとんど麻酔なしで抜き取ることができます。抜き取った後には幼弱な若い歯肉ができ上がり、それが骨補填剤を外界から保護しています。
PTFE膜の中には少量の垂直水平な体積を得る骨造成を簡便に行うために、膜内にチタンの薄い板をはさみ込んだチタン強化PTFE膜というものもあります。これは、膜をある程度曲げて膨らまし、ボリュームを付けて骨欠損部に設置することで垂直水平の骨増大ができるタイプです。このチタン強化PTFE膜は、もし歯肉が開いて膜が露出しても6カ月間以上バクテリアを通さない性質があります。
なお、大きな骨量を得るための骨造成では、これらの吸収性膜と非吸収性膜だけでは対応できません。低侵襲で行うブロック骨移植(骨の塊を移植する方法)やチタンメッシュ法(網目状のチタンの薄板を使う方法)などの方法によって、大きな骨量を得ることができます。これら大きな骨造成法には、種々の吸収性膜を併用することが効果的です。
吸収性膜には、牛のコラーゲンを使用した吸収性コラーゲン膜や豚のコラーゲンを使用したものをはじめ、最近では胎盤を使用し、歯肉組織の治癒能力の向上作用・消炎作用・組織再生能力を上げて骨造成促進作用を得る目的で生産されたプラセンタ膜などもあります。
当院では、オーストラリア・ニュージーランド産の牛のコラーゲンで、配合飼料ではなく牧草だけを食べさせる牛、つまり狂牛病のリスクがない牛の吸収性コラーゲン膜を使用します。
以上のように骨造成には、骨造成剤のほかにも数多くの材料が使用されているのです。