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インプラントの10年間の成功率は、96%だと一般的に言われています。これは、歯を削って被せた冠の平均使用年数の統計が8年と発表されている値と比較すれば非常に高くなっていますが、この高い成功率には理由があるのです。
ひとつの原因として、一般的にインプラントセラミック冠の適合制度が天然歯の冠の適合制度より高いことが挙げられます。
天然歯は、削った後非常に精度の良いシリコンゴム系型採り材を使って口の中の歯形を採ります。型を外す時に弾性シリコンゴムは少し伸び、その後すぐ元に戻りますが、100%元に戻ることはなく、歯に型を戻すときには約20ミクロンの隙間ができて大きくなると言われています。また、そこに石膏を注入して石膏模型を注入して石膏模型を作ると石膏は硬化時膨張(固まる時に膨張すること)を起こすので、さらに大きな歯型模型ができることになります。大きな模型上で製作すれば、必ず大きな冠やブリッジができるわけです。
非常に上手な歯科技工士が、冠やブリッジを作っても歯に合う最高精度は60ミクロンくらいだと言われています。バクテリアの大きさは4ミクロンから10ミクロンくらいなので、60ミクロンの隙間でも被せたその日からバクテリアの繁殖が始まって虫歯になってしまうこともあり、歯科技工士はいつも適合の良い物を作ることに苦労しているのです。
これに対してインプラントの型採りの多くは、間接法といってインプラントに印象用コーピングという部品を接続してシリコンゴムで型採りし、そこにインプラントと同じ寸法のインプラントアナログという部品を接続して模型を作ります。この模型は、口の中のインプラントと全く同じ形をしているので、模型上のインプラントアナログにピッタリ合うアバットメント(土台)を接続し、そのアバットメント上で直接セラミック冠を作ることができます。当然、歯の型を採って作る冠より適合精度はよくなります。
理由の2つ目は、インプラントは金属でできているので虫歯にならないという事実を挙げることができます。しかし、インプラントにも天然歯の歯周病にあたるインプラント歯周炎というものがあり、骨が吸収する原因の一つにもなっています。
従って、歯科技工士はインプラントの上部構造セラミック冠の適合性をいかに高めるかに苦労し、歯科衛生士はインプラントや天然歯の周囲のプラーク(汚れ)や歯石を少なくし、インプラント歯周炎や天然歯の歯周病をいかに減らすかに、日々とても苦労しているのです。