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大きな抜歯窩(歯を抜いた後の穴)などに骨を造る時、歯科医が日常使用するインプラント用コラーゲン膜には、骨補填材(カルシウム系)などの材料を抜歯窩に入れた後に歯肉が入り込んだりしない様に、さらに骨補填材が散らばらないように抜歯窩にかけて遮断する役割があります。
この遮断効果によって抜歯窩内部に骨ができていくわけですが、多くのコラーゲン膜は、外観的にはティッシュペーパーを3~4枚重ね合わせた感じに見えます。これらは生理食塩液や血液につけてもティッシュペーパーが濡れたような状態になるので、尖ったピンセットなどの器具でつまむ時には、穴が開かないように注意して取り扱う必要があります。(乾燥時にも硬い何種類かの膜は、濡らしても硬いままのタイプもあります。)
ここで当院が最近使用している最新コラーゲン膜(仮称R膜)について、その特性を紹介します。
R膜は、無菌包装から取りだす時には乾燥した透明の薄くて硬い膜ですが、いったん生理食塩液や血液によって濡れることでやや半透明になり、指に巻きつくような弾力性をもってきます。これを骨補填材を入れた抜歯窩の上に乗せれば、吸いつくようにピッタリ密着して高度な閉鎖遮断性を示すのです。この高張力のおかげで、R膜は器具によるパンクの心配もなく歯肉の下に押し込むことができ、必要なときには縫合することもできます。また、抜歯してすぐの硬い歯肉が少ない部分の骨造成部に設置して、歯肉を完全閉鎖しにくいケースでR膜が露出している場合も、強力なバクテリア遮断効果で感染する心配もまったくなく、その歯肉成長促進作用によって2~3週間で歯肉は完全閉鎖します。
R膜は3カ月前後で吸収されますが、患者さんの手術後の腫れや痛み、骨の損失などの不快症状をかなり減少させることができます。R膜は、豚の無菌純粋タイプⅠコラーゲンを原料とした多糖類で造られ、優れた生体適合性をもつので、当初は小児心臓欠陥患者の手術部位を保護するための吸収可能な膜として開発されました。費用は高価ですが、「骨造成のための吸収可能なコラーゲン膜」「穴が開きにくい弾力性を持つ優れた操作性がある」「半透明で骨補填材や骨の状態が目で確認できる」「刺激や炎症のない優れた生体適合性がある」「縫合できる」などの多くの利点があります。当院では、このように優れた材料こそ、患者さんのために正しい術式の上で使われるべきだと考えています。
■平成26年3月27日