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私は生来好奇心が強く、仕事にも良いと思えば新しいものをすぐ導入します。
最近、高性能ポリマーのことをよく聞くようになりました。これはペクトンという名前が付けられたもので、スイスにある世界1位の貴金属メーカーCENDRES METAUX(センザメトウ社、CM社)が特許を取得しています。
海外では、この素材をCAD/CAMマシンやドイツ製セラミックプレスマシンを使用してブリッジを製作しています。
当院のクリニック併設技工所には、最新のCAD/CAMマシンや2台のセラミックプレスマシンがあり、これらの設備でこの新しい素材を使いたいと考え、その情報を直接収集するため2015年11月にスイスに行ってきました。
40年前からメタルセラミック冠を製作する時、センザメトウ社(CM社)のセラミック用金属(貴金属含有率約90%)を使っていました。しかし、近年の金価格高謄によって非常に高価な歯科用貴金属が使われなくなってきたという事情だけでなく、貴金属に代わってジルコニアという素材を使用して丈夫で適合性が良い美しいオールセラミック冠ができるようになってきたのです。センザメトウ社にとっても、2012年から2015年までの4年間で歯科用貴金属材料の売り上げが28%落ち込むことになったので、新しい素材の開発が急がれていました。
この高性能ポリマーは、破損した頭蓋骨の代わりに脳を覆ったり、体内に入れても為害作用を起こさず生体親和性があって、もちろん歯肉にも安全な材料なのです。
さて、昨年11月25日スイスCM本社ビルに到着し、社屋内に入るのに受付で名前を告げて、ネームタグをつけるように言われ、社員たちと私4人はセキュリティールームの中央に1分位立った状態でなんらかの全身チェックをされた後、会議室でペクトン開発者による講義を受け、工場見学もしてきました。工場内には大きなプレス機械が何十台もおかれ、その機械の上には幅10cm高さ5cm長さ60cm位の貴金属の棒が何本もおかれていましたが、それらはロレックスなどスイスの高級時計の蓋などの部品を作るためのものだったり、他にも細かく美しい彫刻が施された貴金属の自動巻きのムーブメントなどの製品がたくさん作られていました。
次の日は、スイス東部のクオール市のRobert Arvaiさんを訪ねて、彼が経営している技工所を見学しました。実際にペクトンを使った数多くの技工製作物を見せてもらい、質問にもたくさん答えてもらったので作業手順もよく理解できました。彼はヨーロッパで有名な技工セミナー講師でもあり、イギリスやドイツでも頻繁に講義を行っています。
写真はArvaiさんの製作ケースの一部です。機会ができたら、日本にもぜひ行きたいと言ってくれました。
■平成28年2月25日