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イギリスのアーチボルト・コクランは、コクラン共同計画を提唱し、治療における考え方のバイアス(偏り・かたより)とエラー(まちがい)を最小限にするため、正しいデータを導く「ランダム化比較試験(RCT)」を定期的に吟味していました。
この調査結果を主宰するコクランセンターは、定期的に医療従事者に伝えることをその目的にしています。
「ランダム化比較試験」とは、客観的に治療効果を評価することを目的に、つまり「患者さんにとって一番良い治療法は何かを知るため複数試験を分析」する研究手法です。
コクランセンターが1993年にイギリス医師会雑誌と共同で会議を開き、1994年には論文の「システマティック・レビュー」として出版されています。その中で「長く良かれと思ってなされてきた治療に対するバイアスとエラー」が議論されています。
インプラント治療においても、1965年に骨と結合する近代インプラントが発明されて歯科医療界に広まって以来、インプラント研究機関や歯科大学などがその発展に貢献してきましたが、一部ではインプラントに対する多くの研究者の思い込みなどがありました。
現在日本では、歯科医療情勢の影響などによって、2000年頃から海外研修に参加することが下火になっています。そのためランダム化比較試験でまちがいが指摘されている部分に関しても、日本では情報不足になり、訂正されないまま昔ながらの治療法が継続されているのです。
たとえば、インプラント埋入時のモーターの回転力(回転トルク)は、長期にわたって35Ncm(ニュートン)くらいで行うように指示され、それ以上強い力の50Ncmくらいの力でインプラントを埋入すると、骨内の血管が挫滅してインプラント周囲に炎症を起こすと言われてきました。
しかしそれは、50Ncmの力をインプラントに加えると、インプラントの内部構造はそのやわらかさによって変形または破折することが一部のインプラントにあったというのが実態のようです。
また、現在の骨との結合強度を促進させるために粗い表面(租面)にしてあるインプラントがほとんどですが、最近は骨と結合するインプラントがスエ―デンで発明された当初の機械加工で鏡のようにぴかぴかに研磨(鏡面研磨)された古いタイプのインプラントが見直されてきています。
このタイプは、骨との結合が完了するのに1年かかりますが、バクテリアがその表面で繁殖しにくいという利点があるのです。
コクラン共同計画では、このような内容も研究されています。
■平成28年6月30日