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インプラント埋入後の骨成長に対するダニエル・ボッティチェリ教授の実験によると、インプラント埋入のために骨を形成してインプラントを埋入した場合と、歯を抜歯したばかりの所(抜歯窩)にインプラント埋入を行った場合の比較では、ともにインプラントと骨の間に隙間が見られます。
抜歯窩にインプラントを埋入した場合、骨との隙間が多いときには歯肉が入り込まないように、3ヶ月くらい吸収しないコラーゲンの薄い膜でカバーしておきます。骨を削った場合も、抜歯後すぐに抜歯窩にインプラントを埋入した場合も、骨表面から骨が成長してきますが、生体組織検査(顕微鏡検査)をするとインプラント埋入後1週間でインプラントの尖端の方から骨が成長してきます。
2週間後には、インプラントの歯冠側(冠が入る方向)に近いところまで骨が新生され、2~3カ月もすればほぼ完全にギャップがなくなります。そんなに大きくない抜歯窩であれば、骨を削った場合とインプラント周囲の骨形成のパターンに違いがありませんでした。
また、抜歯と同時埋入したインプラント周囲の骨成分の分布を見ると、埋入1週間後はミネラル化した新生骨(カルシウムがしっかり沈着した丈夫な新しい骨)は5%、古い既存骨は20%、骨形成による骨くずが10%、柔らかい骨髄成分が50%、どろっとした残留物が15%でした。
埋入1カ月後には、ミネラル化した新生骨は47%、古い既存骨はまだ20%のまま、骨くずは3%、柔らかい骨髄は30%、どろっとした残留物は0%になり、埋入3ヶ月後では新生骨が68%に、古い既存骨は2%に、骨髄は30%になって骨形成がほぼ完了しました。
これは骨形成で削ったインプラント窩に埋入した場合でも、オペ3カ月後にはインプラント周囲の骨成分が抜歯同時埋入の場合とほとんど同じ成分でした。
この実験の結論は、新鮮抜歯窩にインプラントを植立した場合も、抜歯後に骨ができたところにインプラントを植立した場合も、骨結合(オッセオインテグレーション)のパターンに違いがなかったということです。
つまり、歯を抜いた所にすぐにインプラントを埋入しても骨は問題なくできるということが分かったのです。
■平成28年7月28日