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感染防止のための治療用器具の除菌・消毒・殺菌・滅菌について、除菌とは治療器具の付着物を水道水や洗剤で機械的に除去し、菌の数を減らす方法として古来から行われてきました。
消毒とは、しっかり水道水洗浄をした後に金属製器具をシンメルブッシュという煮沸(しゃふつ)消毒器の沸騰水中に10分くらい入れて消毒する方法で、熱に強い芽胞菌以外はほとんど死滅させることができます。1975年以前には、一般的に歯科クリニックでは治療用器具の殺菌消毒に煮沸消毒器を使用していました。
熱を加えられない合成樹脂系器具などは、グルタラールやクレゾール、塩化ベンザルコニウムなどの薬液に浸けて消毒します。消毒によって、手軽に大幅に菌の数を減らすことができるようになったのです。
滅菌とは、しっかり水道水洗浄をした後に圧力釜のようなオートクレーブ(クラスN)という高圧蒸気滅菌器に入れ、2気圧の高圧下で加熱することで121℃にまで上がる高温蒸気を行き渡らせることによって、芽胞を含むすべての細菌・ウイルスを死滅させます。
また、熱に弱い器具や湿度に弱い物は、ケミクレーブという高度な殺菌力を持つEOGガス(エチレンオキサイドガス)やホルマリンガスを使用したガス滅菌器を用いることで、滅菌ができるようになりました。
現在、多くの歯科クリニックでここまでの滅菌システムが普及するようになってきました。
歯科インプラントのオペで使用される器具には、色々な物の切削にハンドピースと呼ばれる内部にギアが入っている複雑な構造の回転器具をはじめ、内部が中空になった器具や複雑な形の器具が多く使用されています。これらの器具の滅菌は、従来困難なものでした。
さらに現在では、肝炎ウイルス、エイズウイルス、SARSなど、新しい感染症が注目されはじめ、複雑な器具にも徹底した滅菌を日常的に行う必要性が高くなっています。
オペに使用する複雑な構造の回転器具の内部にまで高圧高温蒸気を行き渡らせるために開発されたのが、クラスBオートクレーブです。
クラスBオートクレーブは、チャンバーという滅菌物を入れる容器内部を内臓ポンプによって3回以上真空と2気圧の高温蒸気加圧(約134℃)を繰り返して残存空気を排出するため、滅菌困難な手術用回転器具内部の隅々まで高温蒸気を行き渡らせることができます。
また、従来のオートクレーブ(クラスN)に使用する水は、水道水を循環して再利用するのに対して、クラスBオートクレーブは水道水をろ過してイオン交換した水をすべて使い捨てにします。
ヨーロッパでは、すでに2006年から歯科および口腔外科の感染予防ガイドラインで「クラスBオートクレーブ134℃18分維持」の使用だけが推奨されてきました。日本でのコストは、クラスBはクラスNの4倍近くになります。
■平成28年10月27日