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歯の治療やインプラントの治療を行う場合、クラウンやブリッジといった補綴物を取り付けます。治療時には問題がなくても、時の経過とともに歯ぐきが下がってしまうことで歯根が見えたり、インプラントの金属部分が見えてきたりして見た目が悪くなることがあります。
このような現象が起こる原因は、歯肉の炎症をはじめ、歯のブラッシングの方法、使用された材料、クラウンの形など、多くの理由があると言われています。
一方、私がこの数年間に参加しているインプラントの学会での研究報告によれば、歯肉は歯肉の下にある歯根やクラウンの形によって影響され、歯肉の形が変化するという報告があり、この点について今もっとも注目しています。歯の周囲の歯肉は、健康でなければなりません。そのためには、天然歯であってもインプラントであっても厚い歯肉の獲得が重要です。
歯肉の内部には血管があり、歯肉が薄い場合は、歯肉への十分な栄養供給とともに酸素の供給も十分でなくなり、その結果、歯肉の退縮が起こるのではないかと私は考えています。
歯肉が厚ければ、歯肉の下にあるものは隠され、表からは見えなくなるので見た目も良くなります。
インプラントに関するある研究報告でも、歯肉の厚さが薄い場合はインプラント周囲の骨が吸収されて歯肉が下がりますが、歯肉が厚い場合は、骨が下がっても歯肉は下がらないという報告があります。
これらのことをインプラントの治療にあてはめてみると、インプラントのネック部の形、あるいはインプラントのアバットメント(支台)の形が歯肉に影響を及ぼしているのではないかと考えられます。
インプラントの周囲は、クラウン・骨・歯肉といった三つの構造物によって成り立っていますが、まさしくこの三つの構造物のバランスを考慮することがとても大事だと考えています。
■平成30年11月29日